給与所得者の確定申告

給与所得者の給与についての所得税は、毎月のボーナスから源泉徴収されることになっています。その源泉徴収された所得税の1年間の合計額と、その年の給与総額について納めなければならない税額(年税額)との過不足額は、その年の最後の給料やボーナスが支払われる際に、「年末調整」によって精算されることになっています。

大部分の給与所得者は、この「年内調整」によってその年の納税が完了しますので、改めて確定申告をする必要はありません。しかし、給与所得者でも確定申告をしなければならない場合や、確定申告をしなくてもよい方でも確定申告をすると源泉徴収された所得税が還付される場合があります。そこで、給与所得者の確定申告について、そのあらましを説明しましょう。

確定申告をしなければならない場合

平成13年中の所得から配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除その他の所得控除の合計額を差し引き、その金額を基として算出した税額が配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金(取得)等特別控除額、年調定卒控除額の合計額よりも多い方で、次のような場合には、確定申告をしなければなりません。

  • 1.平成13年分の給与の収入金額が2.000万円を超える場合
  • 2.給与を1ヶ所から受けている方の場合で給与所得や退職所得以外の所得金額(不動産の貸付け、原稿料など)の合計額が20万を超える場合
  • 3.給与を2ヶ所から受けている方の場合で、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の所得金額との合計額が20万を超える場合。ただし、すべての給与の収入金額が、
    「150万+社会保険料控除額+小規模企業共済等掛金控除額+生命保険料控除額+損害保険料控除額+障害者・老年者・寡婦(寡夫)・勤労学生の各控除額+配偶者控除額+配偶者特別控除+扶養控除額」以下で、しかも、給与所得や退職所得以外の所得金額の合計額が20万以下であるときは、申告する必要がありません。
  • 4.同族会社の役員やその親族などで、そのその法人から給与のほかに貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械、器具の使用料などの支払を受けている場合
  • 5.災害により被害を受けたことにより、平成13年分の給与について災害減免法に基づく源泉徴収税額のの徴収猶予や還付を受けた場合
    平成13年分の所得税と確定申告と納税の期間は、平成14年2月16日から(土)から3月15日(金)までです。正しい申告と納税を期間内に済ませましょう。なお、納税が3月15日の期限を過ぎますと、未納となっている税額に対し年14.6%(ただし5月と15日までは年「7.3%」と「平成13年11月30日の公定歩合+4%」のいずれかの低い割合)の延滞税がかかります。

確定申告をすると所得税が還付される場合

確定申告をしなくてよい方でも、次のような場合には、確定申告をすれば源泉徴収された
所得税の金額または一部が還付される場合があります。

1 雑損控除の適用を受ける場合

地震、火災、風水害などの災害や盗難、横領により住宅や家財に損害を受けた場合や
災害等に関連してやむを得ない支出をした場合には、次の(1)と(2)
によって計算した金額のうち、いずれか多い方の金額が雑損控除として所得金額から
控除されます。

  • (1)損害額−所得金額の10%
  • (2)損害額のうち災害関連支出の金額−5万円

(注)損害額には、災害により生じた土砂の取りかたづけ費用など災害等に関連してやむを得ない支出をした金額も含まれますが、損害額のうち保険金などで補てんされる部分の金額は除かれます。
雑損控除を受ける場合には、災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に 提示することが必要です。

2 医療費控除の適用を受ける場合

病気やけがなどで多額の医療費を支払った場合は、次の算式によって計算した金額が医療費控除として所得金額から控除されます。

(平成13年中に支払った医療の総額−保険金などで補てんされる金額)− (10万円〔所得金額の合計額が200万円までの方は所得金額の合計額の5%〕)=医療費控除額(最高200万円)

(1)医療費控の対象となる医療費

医療費控の対象となる医療費とは、つぎのイやロに該当するものをいいます。

イ 次のものの対価のうち、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額
  • (イ)医師、歯科医師による診察や治療
  • (ロ)治療、療養のための医薬品の購入
  • (ハ)病院や診療所、助産所、介護老人保護施設、指定介護老人福祉施設に収容さるための人的役務の提供
  • (ニ)治療のためのあんま・マッサージ・指圧師・はり師・きゅう師・柔道調整師などによる旋術
  • (ホ)保健婦や看護婦、准看護婦、特に依頼した方による療養(在宅療養を含みます。)上の世話
  • (ヘ)助産婦による分べんの介助

(注) 介護保険制度下で提供される一定のサービスの対価のうち、医療費控除の対象となるのは次のとおりです。
1 指定介護老人福祉サービスの対価(介護費及び食費)として支払った額 の2分の1相当額
2 一定の居宅サービスの自己負担額


ロ 次のような費用で、診療や治療などを受けるために直接必要なもの
  • (イ)通院費用、入院の部屋代や食事代の費用、医療器具の購入代や賃借料の費用で、通常必要なもの
  • (ロ)義手、義足、松葉づえ、義歯などの購入の費用
  • (ハ)身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に 
    納付する費用のうち医師などの診察費用や(イ)、(ロ)の費用に当たるもの

(注)傷病により、おおむね6ヶ月以上にわたり寝たきり状態にあると認められた方で、治療上おむつの使用が必要であると医師が認めた方のおむつ代も医療費控除の対象となります。


(2)医療費控除の対象とならない医療費

次に揚げる費用などは、医療費控除の対象にはなりません

  • イ 容姿を美化し、容ぼうを変えるなどの目的で支払った整形手術の費用支給を受ける給付金
    例えば、健康保険法の規定により支給を受ける療養費や移送費、出産育児一時金、家族療養費、家族移送費、高額療養費、配偶者出産育児一時金など
  • ロ 損害保険契約や生命保険契約に基づき医療費の補てんを目的として支払を受ける障害費用保険金や医療保険金、入院費給付金など
  • ハ 医療費の補てんを目的として支払を受ける損害賠償金
  • ニ 任意の互助組織から医療費の補てんを目的として支払を受ける給付金

    平成13年分の医療費控除の対象となる医療費は、同年中に現実に支払ったものに限ります。したがって、未払となっている医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象になります。医療費控除を受ける場合は、医師などの発行した領収書を確定申告に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することが必要です。
    なお、おむつ代については、医師が発行した「おむつ使用証明書」とおむつ代の領収書が必要となります。

3 在宅借入金(取得)等特別控除の適用を受ける場合

一定の要件にあてはまる家屋の新築、購入又は増改築等をして、平成8年1月1日から平成13年12月31日までの間に居住の用に供した場合(新築、購入又は増改築等の日から6か月以内に居住の用に供した場合に限ります。)で、一定の要件に当てはまるときは、居住の用に供した年以後6年間(平成11年、平成12年及び平成13年6月30日までに入居した場合は15年間、平成13年7月1日以降に入居した場合は10年間)の各年の所得税の額から居住の用に供した時期に応じ、住宅借入金等の年末残高の合計額を基として計算した金額の控除を受けることができます。

例えば、平成13年6月30日までに居住の用に供した控除額は、一般の家屋の所得等の場合については、平成13年から平成18年までの各年が最高50万円、平成19年から平成23年の各年が最高37万5千円、平成24年から平成27年の各年が最高25万円です。

阪神・淡路大震災の被災者の家屋の最取取の場合については、平成10年中に居住の用に供した場合にも適用される住宅借入金等の年末残高の限度額、控除期間(6ヶ月)及び控除率による計算方法も選択できます。

平成13年分についての初めてこの控除を受ける場合には、@家屋の登記博の謄本・抄本(登記事項証明書)や住民票の写しなどの所定の書類及びA金融機関等から交付を受けた「在宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」などを添付することが必要です。また阪神・淡路大震災の被災者の家屋の際取得等の場合には、

上記の書類のほか、自己の住宅が阪神・淡路大震災によって被害を受けたことにより居住の用に供することができなくなったこと及び取得した住宅は居住の用に供することができなくなった日以後初めて取得したものであることを明らかにする書類を添付することが必要です。ただし、既に平成8年分から平成12年分までに住宅借入金(取得)等特別控除を受けている方が、平成13年分で住宅借入金(取得)等特別控除を受ける時には、@の書類を添付する必要はありません。

なお、給与所得者が住宅借入金(取得)等特別控除を受ける場合は、最初の年は確定申告をすることが必要ですが、その後の年については、年末調整で控除を受けることができます。


4 特定支出控除の適用を受ける場合

給与所得者が特定支出をした場合において、その年中の特定支出額の合計額が給与所得控除額を 超えるときは、その年分の給与所得の金額は、次の算式により求めた金額とするすることができます。

(給与所得控除後の給与等の金額)−(特定支出の額の合計額のうち、給与所得控除額を超える部分の金額) = 給与所得の金額

この特定支出とは、通勤費、転任に伴う引越費用、研修費、資格を得るための支出、単身赴任の帰宅のための往復旅費で、一定の要件に当てはまるものをいいます。
なお、この特定支出控除を受ける場合は、特定支出に関する明細書及び給与等の支払者の証明書を確定申告書に添付するとともに、支出した金額を証する書類などを確定申告書を提出する際に提示することが必要です。

給与所得がある方の定率減税】

1 定率減税額

平成13年分の所得税についても、所得税額からその所得税額の20%相当(最高25万円)が控除されます。
なお、この場合の所得税額には、源泉分離課税とされている又は源泉分離課税を選択した所得に係る税額は含まれません。

2 定率減税の実施方法

「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している給与所得者(いわゆる甲欄適用者)については原則として、その給与の支払者のもとで次により定率減税額の控除が行われます。

(1)定率減税を織り込んだ税額表を使用して源泉徴収税額を求めることにより実施されます
(2)年末調整の際に、平成13年分の給与に対する年税額から定率減税額が 控除されます

  • 1・給与が2ヵ所以上から支払われている場合の従たる給与の支払を受ける方
  • 2・給与の額が2.000万円を超える方
  • 3・年の中途で退職した方で年内調整を受けなかった方
  • 4・労働した時間や日によって給与の支払を受ける給与所得者(いわゆる内欄適用者)については、源泉徴収段階で定率減税額を清算することになります。

退職所得がある方の定率減税】

退職所得については、その支払を受ける際の源泉徴収の段階では定率減税の適用がありません。このため、その退職所得を含めて平成13年分の所得税の確定申告の時期に確定申告書を提出することにより、退職所得から源泉徴収される所得税について定率減税の適用を受けることができる場合があります。

申告書は、自分で書いて、お早めに】

申告書は、できるだけ自分で書いて、早めに提出してください。
郵送でも提出できますので、記載事項や添付書類をご確認のうえ、管轄の税務署までお送りください。

確定申告書が新しくなりました

所得税の確定申告書の様式が大幅に改定されました、改定の概要は次のとおりです。

  • (1)用紙のサイズが扱いやすいA4版になりました
  • (2)申告書の種類が従来の6種類を統合して「申告書A」と「申告書B」の2種類になりました。
    • 申告書Aは申告する所得が給与所得や雑所得、配当所得、一時所得だけの方が使用できる申告書で、比較的簡易な様式になっています。
    • 申告書Bは事業や不動産の取得がある方など、所得の種類に関わらずどなたでも使用できる申告書です。
  • (3)「確定申告の手引き」も新しくなりました。
    申告書新様式は、今までの申告書にあった小さな文字の説明文や計算式を整理しています。整理した説明文や計算式は、「確定申告の手引き」に盛り込まれ、手引きでの計算結果を申告書に転記できるようなものになっています。

所得や税額の計算の仕方、申告書の書き方などでお分かりにならない点がありましたら、お気軽に最寄の税務署相談室や税務署にお尋ねください。

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